少数精鋭ブティック:阿部国際総合法律事務所 最善策を提供するビジネスパートナー
2003年に設立された阿部国際総合法律事務所は製薬特許訴訟においてその名を知られた少数精鋭のブティック事務所です。現在、弁護士のラテラル採用を行っております。代表の阿部弁護士に詳しいお話を伺いました。
Just Legal (JL):本日はお時間ありがとうございます。先生がスタートされた阿部国際総合事務所は製薬訴訟の業界において有名案件を数多く手掛ける知名度の高い知財訴訟ブティック事務所です。今回はどのような経緯でラテラルでの採用を検討されているのでしょうか。
阿部弁護士:端的に申し上げると、お客様からの引き合いが多く、人手を増やしたいからです。私共のお客様はいわゆるビッグファーマと呼ばれる製薬会社様が多いのですが、皆様Dog Yearでビジネスが進んでいるため、成果物のクオリティはもとより納期など大変シビアに求められます。現在当所では私を含めて4名の弁護士と2名の弁理士が在籍していますが、ラテラル採用でキャパシティを上げてお客様のニーズに応えたいと考えております。
JL:先生の事務所ではどのような経験が積めるのでしょうか。
阿部弁護士:繰り返しになりますが、我々がお仕事をご一緒している多くは製薬業界の一流企業でして、そのようなお客様から依頼を受ける案件は知財の最先端のものが殆どです。これらは往々にして法的にも技術的にも複雑で難しいものですが、当所に入所して頂ければこういった最先端で難しいものにチャレンジできます。
伝統的な訴訟の形である先発医薬品企業対後発医薬品企業の訴訟もありますが、最近では先発医薬品企業対先発医薬品企業の案件も増えています。また、技術分野でも、伝統的な低分子化合物のほか、抗体医薬などのバイオ医薬品も増えています。前途したとおりお客様はDog Yearでビジネスをされており、今後訴訟案件の内容や在り方にも様々な変化が起きてくるものを思われます。その変化に適応しながら弁護士としての成長を感じられる環境ではないかと考えております。
JL:どんな働き方になるのでしょうか。
阿部弁護士:まず最初に強調しておきたいのですが、当所はアソシエートの方々を使い捨ての歯車のように扱う事は一切ないです。移籍を検討される方は自分がこの先この事務所でどういう風にキャリアを伸ばしてゆくのかを考えていらっしゃると思いますが、当所では採用した方全員にパートナーになって欲しいと考えております。このような前提があるので、アソシエイトには下働きしかさせないといった事は当所ではありません。大型案件の場合は数人のチームを組んでやりますが、参加メンバー全員が案件全体を見られるようにしております。勿論全員が全部をやるわけではなく、役割分担となりますが、それが単なる歯車ではないというのは、全体を見た上でその人の適正に一番合った役割を与えられ、常にチームで議論をしながら案件を進めていくという点です。一人だけ蚊帳の外だったり、全体を見られず、目的も分からず下働きだけやることは一切ないです。
JL:なるほど。皆で育ててゆく、という感じですね。チームでのディスカッションでは積極的な発言が求められるのでしょうか。
阿部弁護士:年次に関係なく必ず自分の意見を言ってもらっています。黙っていたら貢献したことにはなりません。ただし、駄目な意見を言っても駄目なので、そこが難しいところです。良い意見を言う事が大切です。これはOJTによって鍛えられる事だと考えております。
JL:若手にとって、経験豊かな先輩先生方の前で意見を言うのは抵抗があるかも分かりませんが、その点はどうお考えでしょうか。
阿部弁護士:抵抗を感じるかも分かりませんが、安心して欲しいです。最初から高度な意見を求めることはありません。まずはどんな組織でもそうですけど、上から言われた事をきちんとやれる、この能力がまず必須です。当所で活躍するには、案件をリードしている弁護士からの指示をきちんと理解し遂行できるという事が重要になるかと思います。それが出来れば大丈夫で、その他の能力については徐々に習得すればいいし、もし最初から何かクリエイティブな能力を持っていれば、それは開花が早くなるのだと思います。
JL:ホームページを拝見すると、極めて専門性が高く複雑な案件の依頼が多くあるとお見受けします。製薬や知財関連の経験がある弁護士の方が貴所では重宝されるのでしょうか。
阿部弁護士:あれば尚可、といった程度です。弁護士の基礎能力がしっかりしている方であれば知財経験は必須ではありません。訴訟経験については一般民事、企業法務系の訴訟、刑事事件でも何でも良いので何か経験があると有利でしょう。知財・訴訟ともに全く経験がなくとも教育の仕方などを考えれば十分やっていける可能性もあるのでウェルカムです。当所で採用した修習生上がりの弁護士は、ロースクールもしくは学部で知財関連の勉強をしたことがないという方も多くいますが、直ぐに吸収していました。直近でラテラルで採用した弁護士も知財経験はありませんでしたが、即戦力になっています。弁護士としての基礎能力が高い方であれば、当所の案件をOJTすることで直ぐに吸収出来ます。
JL:わかりました。そうしますと弁護士としての基礎能力がとても大切ということですね。
阿部弁護士:そうですね。私どもの案件は複雑なので、弁護士としての基礎能力が高い方が有利です。
JL:先生の下でお仕事をすると、どのようなスキルを身につけられるのでしょうか。
阿部弁護士:一言で言いますと、訴訟屋として必要なスキルを身につける事が出来る、です。もちろん、私どもは知財訴訟に限定していません。知財訴訟は専門性の一つとしてやっていますが、多種多様な訴訟を担えるのが訴訟屋と規定しておりますので、知財以外の訴訟についても他の事務所が勝てないような案件を勝っていく、ということを目標にしております。
JL:ホームページは知財ブティックのイメージが強いのですが、知財だけに特化しているわけではないということですか。
阿部弁護士:はい。知財だけに特化していません。会社法・独禁法・労働法などのご相談、事業承継の買主から詐欺取消を主張された訴訟案件、社長が突然解任されそうになった経営権争奪紛争案件なども担当しています。
知財訴訟も訴訟であり、一般民事訴訟の基礎の上に成り立つ応用ですから、一般民事訴訟をきちんとできるようになることを非常に重視しています。期日や打ち合わせの後に時間をかけて丁寧にラップアップを行い、訴訟屋としてのものの見方を会得できるよう、トレーニングしています。このラップアップは所員から好評で、期日や打ち合わせ以外の場面でも行ってほしいという要望がありました。
訴訟になる前の交渉においても、訴訟屋としての経験をもとに戦略を立てます。以前担当した不動産案件において、お客様のビジネスゴールが地主から土地を適正価格で買い取るという極めて困難なものがありました。土地というのは動物の縄張り本能に帰するもので、地主が土地を売るということはまずないのですが、ネゴシエーターとして戦略を立て、短期間の交渉で地主に土地を適正価格で売ってもらうことに成功しました。
JL:先生の事務所では訴訟が業務の大部分を占めるのでしょうか。
阿部弁護士:必ずしもそうではありません。訴訟屋というと訴訟しかしていないイメージがあるかも分かりませんが、当所ではM&Aとか契約なども日常的に扱っております。M&Aは、超大型案件、対象会社が海外子会社を有する複雑な案件、事業承継などを扱いました。コントラクト(契約)レビューというのは訴訟とは違った能力が求められますが、渉外弁護士にとっては基礎になりますので、この点も重要視しております。例えば、アメリカではコントラクト・ロイヤーがコントラクトレビューだけをし、訴訟を行いませんが、契約書を解釈したり契約書を作成するには、契約書でもめた時に裁判所がどう判断するのかを十分理解していないと良い契約書は作れません。それは弁理士が特許の明細書を作る際、最終的に特許侵害訴訟でその明細書がどう裁判所に判断されるのか理解しないと、裁判に耐えうる明細書を作ることは出来ない、というのと一緒です。訴訟屋としての経験は他の業務においても十分に役に立つものであり、故に訴訟以外の業務も含めて幅広く扱っております。
JL:事務所の方針をお教え下さい。
阿部弁護士:法曹界に市場原理が持ち込まれてしばらく時間が経過しましたが、我々弁護士は今まさに、ダーウィンが描いた世界の真っ只中にいると思います。要するに与えられた環境に適応できた種だけが生き残れる、という状況です。私には5年後を正確に予期する能力はなく、また、若い方のように環境の変化に上手に対応することも出来ません。しかし変わらないと淘汰されてしまいます。なので「誰もが勝てない案件を勝っていこう」という方針を取っております。
JL:他の事務所では勝てないような案件を引き受けるのは難儀ではと思います。
阿部弁護士:そうですね。超難問、超難関のものがご依頼で多いのですが、これらを成功裏に収めるためには脳みそが筋肉痛になるほど徹底的に深く深く考え、仲間と何度も何度も議論し、最後にしっかりと決断しなければなりません。簡単な事ではありませんが、やりがいが非常にあります。これが当所のやり方です。もちろん、全ての案件が難問ではなく、スパッと事務処理能力高く短期間でやるという仕事もあります。
JL:貴所の弁護士・弁理士は、貴所の業務についてどのような印象を持っていますか。
阿部弁護士:先ほど申し上げた、歯車ではなく、大型案件で重要な役割を担い、全体に関わることができること、知的財産権の最先端の案件に携わりつつ、ジェネラルコーポレートや一般民事にも携わることができ、幅広い分野を経験できること、お客様のレベルが高いこと、業務を通じて英語のスキルアップができること、などが挙げられます。
JL:今回の採用では社内弁護士も選考対象でしょうか。
阿部弁護士:もちろんです。社内弁護士の方は外部弁護士よりもビジネスのことをよく理解されていますので、その点は大きなアドバンテージです。実際に元社内弁護士の方で当所に移籍され活躍されている方もおり、当所としては是非社内弁護士の方にも応募を検討して欲しいです。社内弁護士だから習得できたアドバンテージを生かしつつ、当所で更にステップアップして頂ければと思います。
JL:大阪に所在していますが、所員の方は関西の方が多いのでしょうか。
阿部弁護士:生まれも育ちも東京で、関西には縁もゆかりもないという方が何名もいます。いわゆる御三家といわれる高校出身者も何名もいます。このような方々が、東京からわざわざ大阪に生活の本拠地を移してきたのは、当所で扱っている案件が東京のトップファームが扱っている案件と遜色ないことを十分に理解し、当所で経験を積めば自分が目指す弁護士になれると感じたからだと思います。
JL:今のチームの雰囲気をお教え下さい。
阿部弁護士:雰囲気は良いと思います。和気あいあいというか、大部屋で全員が同じスペースを共有し頻繁に議論をしています。大規模事務所では所内の競争が厳しいでしょうから、緊張感というのは高いのだと思いますが、人を蹴落としてまでというのは当所では全くないですし、ライバル関係というのもないです。先日所内で飲み会をしましたが、野球の話で大いに盛り上がりました。仲間思いの弁護士・弁理士達なので、入所後は自然と溶け込んでやっていけるのではと思います。
JL:本日はありがとうございました。
阿部隆徳弁護士(51期) 平成07年 東京大学法学部卒 平成09年 司法研修所入所 平成11年 弁護士登録 平成14年 ボストン大学ロースクール卒 平成15年 事務所開設 平成20年~22年 大阪大学大学院医学系研究科特任教授 平成22年~ 大阪大学大学院医学系研究科招聘教授 平成23年~26年 東京大学大学院医学系研究科非常勤講師