法務部長へのキャリアステップ
ジャスティさん
法律事務所を経てインハウスになった弁護士(40歳)です。
日系企業で落ち着いた雰囲気で海外業務を含む様々な案件を担当しておりますが、年功序列のため法務部長になるためには50代になるのを待たなければならず、また、生え抜きとの競争もあるため法務部長になれるとは限りません。
法務部長になるための転職を考えているのですが、マーケットにはどのような案件があるのか、またどのようなスペックが必要で、また注意するべき点について教えてください。
サラリーマン弁護士X
サラリーマン弁護士Xさん
ご質問ありがとうございます。このブログを書いているのは2016年4月の初旬ですが、2015年第4四半期からの6ヶ月で5件の法務部長ポジションを担当しております。金融機関が4件、1件は製造業です。必須として提示される条件は下記3つです(給与レベルを除きます。)
- 弁護士資格(日本、海外不問)
- マネジメント経験
- カルチャーフィット
1. 弁護士資格
渉外事務所での経験・トレーニングを必須としたところが3社です。他2社はあくまで現場での経験が重要と考えており、渉外事務所での経験には一定の評価は与えますが、それだけで競争優位にはならないと判断されております。
2. マネジメント経験
各社部下の数は
A社3名、B社4名、C社4名、D社2名、E社3名です。
どの会社からも数名のマネジメントを担当した事があるとより好ましいと申し受けております。事務所にいらっしゃる方はマネジメント経験がないと思われがちですが、アソシエートやパラリーガルをまとめた経験や出向先での経験も評価の対象になる場合もあります。これまで全くマネジメント経験がなくとも、各会社の業界知識・経験が豊富、またはマネジメントとしてのポテンシャルがあると先方から判断された場合は選考に残ることは可能です。
3. カルチャーフィット
下記、各会社が重要視している要素です。
A社:経営層も年齢が若く、会社も若いため、エネルギッシュな方を希望されています。起業家精神のある方であるとより好印象です。
B社:堅実なビジネスをする金融機関であり、部長としてのリーダーシップと地域全体のシニア・オフィサー達と上手にコンセンサスを構築できる能力の両方を重視します。
C社:年上の部下がいる部署なので、業務能力はもちろん、コミュニケーション能力がある方を希望されています。
D社:セールスの発言力が強い組織であるため、法務の立場をきちんと説明・納得してもらう知識と能力が必須。
E社:名前は外資ですが社内の雰囲気は日系です。日本の会社で働いても良いと思える方でないと長期的に活躍するのは厳しい。
会社の数だけ法務ニーズはあるわけですが、法務部があり部長・部下もいる会社は稀です。狙いを定めてキャリアを積むのは難しいのですが、ご自身の経験、興味分野にあったポジションが出るのを待つ、というのも戦略の1つだと思います。